2016年5月29日に開催された、朝日新聞社主催の第20回手塚治虫文化賞 記念イベント・贈呈式に行ってきました。




まずは、浦沢直樹さんと糸井重里さんの対談。

浦沢さんは、テレビで見た印象の通り、
子どもみたいに漫画を描くこと、読むこと、漫画について語ること、なにかを始めることにワクワクしていて
何か探して周りをキョロキョロしているような人。

対談中も頼まれてないのに勝手にどんどん描いちゃう。
手塚治虫の描く影がこう、、、目はこうで、、、と止まらない。

糸井重里さんが、あの良いゆるさで話をさりげなく聞き出してまとめていた。

2人の会話で出てきたキーワードで面白かったものを2つ紹介。


『即興性』
日本の漫画は即興性が命。

最初からプロットを完全にガッチリ固めてそれに沿って何年も描いていたら作者が飽きてしまう。

作り手が描いていて面白くないものは、読み手も面白く感じない。
作者が自分で描いておきながら、まじか!そうなるか!と驚くような感じがいい、というお話でした。

即興性。
小説と連載漫画の1番の違いはここだと思う。

小説は、最後まで書き終えてから、頭からまた書き変えて全体の整合性を保つことができるけれど、
連載の漫画ではそれができないから画力はどんどん変わっていくし、
ストーリーやキャラクターの整合性が崩れていくこともある。

でも、その不完全性こそが漫画の魅力。

少年には、毎週いっしょに帆走してくれる仲間が必要だ。

ともに変わっていくこと。同時代を生きていく感覚。漫画の身体的な「近さ」はそこにある。

作品の画力や面白さが急激に伸びるような場面に立ち会えるところも好き。
その作者の個性が突然のたうちまわるように突き出てくるような回を読む楽しさは、整合性には代えられない。


『ミッキーマウスとアトム:戦後日本と漫画の変遷』

最初のころの手塚治虫漫画や他の日本の漫画は、
目が縦長い丸のものが多い。






これは、戦後日本がアメリカ文化をそのまんま取り入れてきて、漫画もまずはアメリカの漫画をそのまま輸入した影響だと。

要するに、ミッキーマウスの目。







たしかに、目の形とか体つきもなんとなく似ている。

その後だんだんと目の縦長感は緩和されていき、
ブラックジャックのころは、目は横に細長くなっている。






また、アメリカ、ヨーロッパや昔の日本の漫画の特徴は、一コマ一コマがイラストとして完成されていて、そのままカレンダーにしたり商品化できるようなものであること。





そういえば、ディズニーとかスヌーピーとか、漫画がそのままグッズになってるものが多い。

最近の日本の漫画は、
一コマでは絵として成り立たないものが多く、連なりとして読むようになっている。


この話で、長年の謎がとけた。
スヌーピーの漫画とか海外の漫画を、英語の勉強になりそうだしなんかオシャレだし(←)読んでみようと何回か試みたけど、毎回なぜか挫折した。

一コマ一コマが絵としてキチッとしてて、流れとか動きがなんだかぎこちなくて読んでいて息苦しく感じるんだ。

今の日本の漫画だと、
ボールだけのコマとか、チリだけのコマとかいろいろあるけど、(一見手抜きにも見える)
そういうところで風通しがよくなったり、うまく時間が流れるようになってるんだなぁ。

そういう細かな技法って、いろんな人たちが、誰かの真似をして、自分なりに更に工夫を凝らして、それをまた他の誰かが真似して育っていったんだなぁ。


その後は、西原理恵子さんとしりあがり寿さんのゆるゆる画力対決。

朝日新聞でも吠えました、西原さん。
ゆらりのったりとさりげなく常に毒を吐いてるところが素敵。笑

個人的にツボにはまった言葉たちを紹介。

「ゴールデンカムイは、怖い話なのに絵がすごく綺麗でもったいない。もっと雑に描くタイプの人が描いた方が迫力でるんじゃない。
その点、進撃の巨人は絵が下手で巨人がもんのすごく怖いの。最近ちょっとうまくなっちゃったけど。」

「最近は、囲碁とかカルタとか発酵食品とかみんな変なのでひと山あてててうらやましい。どっから拾ってくるんだ」

「毎日かあさんを連載して十数年たちましたが、あの可愛かった娘が昨日2度目の朝帰りをしました!」

かあさん、さすがや。笑

そして、2人の画力はこんな感じ。。。


しりあがり寿のヒカルの碁





西原理恵子のヒカルの碁(本人曰く、ようじ屋)






西原理恵子のドラえもん、ピカチュー、アンパンマン





しりあがり寿のドラえもん、アンパンマン






・・・うん。笑

でも、なんだか成り立ってるんだよね。
しりあがり寿さんの絵って不思議だ。

3秒くらいで描いてるんだけど、上手いというのとは別次元だけど、気になって見ちゃう。
絵だけで笑えてしまう。


上手さに関係なく、
とにもかくにも一本の線を自分の形を選びとって、それを描き続けている絵だけがもつ説得力というのはあるんだな。


ようやく受賞式。
今回のマンガ大賞は
『鼻紙写楽』一ノ関圭さん  と
『よつばと!』あずまきよひこさん



一ノ関さんは、漫画は読んだことないけど、なんとなく男性なのかな?と思っていたら女性でした。
変わっていて静かで力強く、面白いスピーチでした。

あずまきよひこさんは、一見、意外とイカツイ感じのおじさまでしたが、スピーチは漫画通りというか漫画以上の脱力系。

「いつも描くのおくれちゃうけど、ま、「よつばと!」だし、続きが気になってハラハラするような話じゃなくて、いつも同じようなことやってるなって感じだから、気長に待ってください」

作者がそれを言う。笑


いろいろ盛りだくさんでとても楽しい式でした。

楽しいことをしている人たちは、なんだか素直で楽しいな。

好きなことごとの近くにいることで満足していたけど、どんなに小さくても渦の中心になれるよう、手を動かしていきたい。
動くことより動かないことのほうが多分しんどい。

なんだかそんなパチパチした気持ちをもらうことができました。

漫画は文化だ。